ひみつ基地

ひみつ基地暮らし。

木下先生の部屋

「先生、どーしたのですか先週からずっと姿を見せなかったですけど」
「やあ中目黒君、久しぶりじゃないか。また何か借りたいのかね」
「僕がそんなに物欲しそうに見えますか」
「見えるね。犬だったらよだれが垂れんばかりの勢いだ」
「あ、分かります?いや実は2つお願いがあって。安部礼司の脚本集season2を読みたいんですよ」
「知らんよ。そもそもあれは19日発売されたばかりで、まだ手に入れてないんだ」
「あれ。そうなんですか。もっと発売が早いと思っていたのに」
「よく番組を聞きたまえよ」
「日曜夕方6時くらいでしたっけ」
TOKYO FMの日曜午後5時だ。6時になると平原綾香のヒーリングヴィーナスになってしまうからね」
「…先生は日産*1の回し者か何かですか」
「いや?そもそも車は持っていないし。しかしTOKYO FMのラジオドラマは秀逸だね。アヴァンティ*2といい」
「木下先生はJ-WAVE派だとばかり思ってましたけど、違うんですか」
「最近、J-WAVEって開局当時のようにエッジが効いたコンセプトが目立たなくなってきたよね。ジョン・カビラがモーニングショウを降りた時点で常聴のラジオステーションを整理するべきだったのではないだろうかって、今でも思うね」
「さっさと替えちゃえば良いんじゃないですか」
「私の朝のスケジュールはラジオ放送の番組構成とシンクロしているので、なかなか替えられないんだ」
「そういう柔軟性の無さが、最近老けてきたっていう噂の根拠になってるのではないですか、先生」
「相変わらず鬱陶しいなぁ中目黒君わ。もうひとつのお願いってのはなんですか」
猫足貸していただこうと思って来たんですけど」
「中目黒君、うちはレンタルショップじゃないんだ。それに猫足はいま修理中だよ。バッテリー換装しないと街乗りじゃ使えない」
「修理って、マルクビさんにお願いしたんでしょう?さっき用務員室の床に希硫酸で穴空けたって苦笑いしてましたよ」
「いいんだ。奴さんには小さい貸しがあったから、これで帳消しさ」
先週仕事に出る前に、柳沢峠に行った。大菩薩ラインは雪曇りの天気で、峠を越す頃にはすっかり雪景色だった。今年も僕らの街に冬がやってきた。年末進行や年明けの締め切り、スキーの約束や適えられない想い、湿ったバスのにおいや曇った電車の窓と一緒に。

荒井由実の地味ぃな曲。たまに聴きたくなる。

*1:ラジオ番組「あ、安部礼司〜BEYOND THE AVERAGE」の冠スポンサー

*2:http://www.avanti-web.com/