ひみつ基地

ひみつ基地暮らし。

9月の山登り。

きっかり3時にアラームが鳴って、まとめておいた荷物を持って外に出たのは20分後。泊ったのは80年代にはにぎわったであろう廃墟のようなスキー宿。振り返ると黒い森。空には白く瞬くカシオペア。冷たい空気を吸い込むと、鼻の奥がツンとして、9月だというこ…

眠りを待ち焦がれて。

年齢とともに嗜好も変わる。 酒をあまり飲まなくなり、朝食をしっかり食べるようになった。青猫はゆがんだフレームを矯正するついでに細かいラメの入った薄水色に化粧直しした。後輪のリム交換は2回目になったが、驚いたことに26インチのリムブレーキ仕様の…

失敗とともに生きる。

先週まで続いた仕事のタフな調整が終わり、気が付けば例年恒例のハーフマラソンの一週間前だと気づいたのが月曜日のことである。 この春以来、フィジカルの調整不調続きで、あまつさえ骨折なんかしちゃって、自転車の季節は最低な結果を出し続けて過ぎていっ…

スウィート&サワー。

早朝のネットカフェ。 週末の移民めいたバス利用者の群れに混じってたどり着いた、ここはみちのくの地方都市。定宿にしているインターネットカフェで、混んでんの?と聞くと、最近週末はほぼ満杯です、と酒焼けした声で返事してくれた茶髪の、見てくれは高校…

すべての山に登れ。

先週の乗鞍はPB更新だった。直前の数週間で付け焼き刃的に距離を踏んだのが効いたのかもしれない。灰猫に装着したおにぎり*1と板橋物置部屋の中に持ち込んだTacxのNeo Smartと、あとZWIFTな。これでバーチャルなロンドン界隈を走り回って、いちんち1000kcal…

バイタルサイン。

観測史上最速で梅雨が明けた6月である。最後の週末、外を見ると緑は濃く、深く盛り上がり、第1世代のRC高層建築物であるマンション群を包み込んでいる。景色は既に夏の様相を呈している。夏です。夏が来たんです。 ちょっといろいろとあって、年末から5月末…

FM81.7「ひみつ基地」放送。

古ぼけた校舎は年末で人影もなく、足音ばかりが長い廊下に響く。非常勤講師控え室はかび臭く、動くたびに埃が舞い上がって、それが外からの照らされて光の筋をつくる。 「うわ、ひどいねえここ。中目黒くん、使うんだったら掃除してくれればいいのに」 「余…

業務ダイアリー・カバー考。

今年も来年の日誌を手に入れる時期である。新宿で、通りすがりにハンズに寄り、迷わずいつもの能率手帳を購入。この手帳に変えてから3冊目である。年々使い勝手を改善してきたので、今や別のフォーマットに変えるのもおっくうである。よっぽどの不便がない限…

東京生活に慣れる。

日曜日、ヒルクライムレース出走。昨年より30秒近くタイムを落としたけど、原因は解っているので落胆はしなかった*1。帰りは久しぶりの関越道日曜渋滞に嵌まって、そうそう、こんな感じだったよ週末の遠征って、という変なノスタルジーに浸りつつTOKYO FMの…

夏のある日、北へ。

金曜日、仕事を早々に切り上げ、板橋物置部屋に戻る。引っ張り出したのはオレンジ色のdeuterのtrans alpine 30。こいつの特徴は中が2気室に分かれていることで、ランシューズを下に、着替えと電装を上にパックする。バッグの上部にオリーブドラブのパッチが…

微熱はつなつ。

風には夜露の湿り気が混じっていて、初夏の香りがする。広い駐車場の真ん中に水銀灯が円錐形の明かりを投げかけていて、それに照らされてうずくまる深夜高速バスは週末の客を満載している。 東北から東京に戻ったのはこの春のこと。板橋物置部屋は手狭で(何…

懐かしのバトルフィールド。

朝3時に起床。雑魚寝の部屋では他の人もそろそろ起き始めている。それでも静かに、寝ている人を起こさないように心拍計のバンドを着け、昨晩のうちにゼッケンを貼ったジャージを着込み、ウィンドブレーカーを羽織る。ハートレートモニター(相変わらずのCS40…

窓さんち。

レガシィに火を入れて暗い国道をすっとばす。およそ100キロの先、沿岸に窓さんちがある。 「よく来たねぇ」 新築の香り立つカウンターの向こうからひょっこり顔を出した窓さんは、人懐っこい笑顔で迎えてくれた。 津波に洗われた街に、窓さんは新しい米屋…

自転車でどこまでも行こう。

秋の風薫る9月長月、恩田君と自転車で旅に出る。相も変わらず喧嘩道中である。まず自転車の選択から意見が合わない。最近の恩田君のお気に入りはカリカリのロードバイク*1を乗り回すことである。一方、こちらは青猫はツーリングに使っても、灰猫は使わない。…

業務ダイアリー考。

神無月も中盤を過ぎ、本屋に行くと日誌の類の特設コーナーが設けられている季節になった。業務ダイアリーを新しく購入するこの機会に、何を考えながら選択したか、メモとしてまとめておく。 以前の記録について 3年ほど前まで、業務記録はA4ノートにまとめ、…

ここは地の果て流されて俺。

日曜日の午後、レガシィに火を入れてジムに行く。空は晴れて高く、秋というか冬へのプロローグの様相。エアロバイクで350kcalくらい燃やした後、プールに向かう。左足のハムストリングスを軽く傷めているので、あまり激しくランができない分、水泳のトレーニ…

僕らの歌をうたおう。

映画館を出たら、夕暮れだった。 キリツグが観たのは暗い映画だった。監督は、明るい冒険活劇を作っている場合じゃない、今は絶望的な状態なんだから、的なことを発言して小難しい映画を作るようになってしまった巨匠だ。 その監督がどんな風に時代を眺めて…

バイタルサイン。

最近のことを手短に。 同じ環境を与えても、楽しむ人間とそうじゃない人間がいる。僕は明らかに前者で、それは自分の性格というか気質の得なところだと考える。兎に角、楽しすぎて幸せだ。それは、たとえスペクタキュラーでトラブルフルな状況に追い込まれて…

FM81.7「ひみつ基地」放送。

あーあー、(ゴツッ、コンコン) 「先生、もうカフ上がってます」 「あれ、これがアップなの?じゃこれは…」 「フェイドアウトしました先生」 「…さて、皆様年末いかがお過ごしですか。中目黒君もお久しぶり。ずいぶんと会っていないね」 「先生授業しなくな…

明日への想い。

「木下君これさ、もう後輪のグリスが全部抜けちゃってるぜ」 職場の輪行部とつるんで柳沢峠→御坂峠を攻めにいった。10月初旬のことである。他のメンバーのペースに全く歯が立たず、嗚呼加齢による限界とはかくもあっさり訪れるものかと気を落としたところで…

こんな夢を見た。

平日の朝なのに、僕は地下鉄のホームで通勤客を見送っている。隣には涼音が立っている。僕らはまるで、通園する園児を見送る両親のように、時折背伸びしたりしながら、人の流れを見ている。 有楽町線桜田門駅は、官公庁最寄りの駅ということもあって、ダーク…

ミラキノラン。

万田塀から職場が変わってしまったので、青猫で通勤というわけにはいかなくなってしまった。そうなると俄然消費カロリーが減る。体重をキープするためには、走る量を増やすことになる。苦痛ではない。むしろ楽しい。 走っているときに感じるあの全能感は何な…

木下先生の部屋。

「先生、異動なのですって?」 「やあ中目黒君こんにちは」 「聞きましたよ。何ですか公安に異動って」 「ほら、小野ケ森さんが帝都公安本部に行っていたことがあったじゃないか。あれだよ」 「先生警察官になるのですか」 「帝健からの出向なんだけど、一応…

風を捕まえろ。

夕方、きんきんに冷えた上に乱暴な風が吹く事務所前の道を、首をすくめて河川敷に向かう。あそこに行けば空気の流れは複雑じゃない。向かい風か、それとも追い風か。 最近使っている前照灯は明るくて、夜に走るときは心強い。水銀の湖の上を滑るようにゆく小…

rambling cats.

新聞を取ろうと板橋物置部屋の分厚い鉄の扉をあけると、風が渦をまいた。寒い朝である。 近くの工事現場の番小屋脇には旗竿が建っていて、クレーン作業用の吹き流しは真横に泳いでいるから、風速は多分、8メートルから10メートル。そして西風だ。つまり、追…

LSD中毒と、年始のご挨拶。

記録が欲しいわけでもないし、誰かに勝ちたいわけでもない。でも身体を動かすことを継続している。 原因のひとつは体型の変化だ。入院とそれに続く療養生活は、確かに回復には必要な時間だった。しかし筋肉が落ち、それが脂肪に取って代わるということはどう…

くちゆくものたち。

沼田ICから尾瀬方向に延びる国道120号線沿いに、ペンキ看板が何枚か掲示してある。曰く「オルゴール館」があって、「15種類のソフトクリーム」も食べられるドライブインがこの先にある由。楽しげな内容な割にはペンキの剥げ具合などうらぶれた雰囲気を醸し出…

FM81.7「ひみつ基地」放送。

みなさんどーもお久しぶりです。中目黒君は年末年始の長期休暇を利用して家族とグレートバリアリーフに行ってしまっているので、今年はひとりの放送です。 今年は何といってもスキーで起こした頸椎および胸椎の骨折騒ぎがトップニュースです。生まれて初めて…

剛田派宣言・あるいはマヤ暦の向こう側。

練馬区某所の空き地に集まる人々。積み上げられた土管の上には旗竿が立ち、黄色地にオレンジの稲妻のシンボルが入った旗が翩翻としている。 やがてひとりが立ち上がり、旗竿の下で胴間声を張り上げた。のび太くんは歳をとりません。何故か。いうまでもなく、…