ひみつ基地

ひみつ基地暮らし。

失敗とともに生きる。

先週まで続いた仕事のタフな調整が終わり、気が付けば例年恒例のハーフマラソンの一週間前だと気づいたのが月曜日のことである。
この春以来、フィジカルの調整不調続きで、あまつさえ骨折なんかしちゃって、自転車の季節は最低な結果を出し続けて過ぎていった。
体重はなかなか落ちず、しかし筋肉量は確実に減っている。最低限、身体を動かしていることは続けているけれど、それが強みになるわけでなし、問題は1週間で何ができるかだ。そこで少し走りこんで体重を1キロでも落とすことと、脚に刺激を入れて筋肉を目覚めさせることにする。
一気に距離を稼ぐとそれだけでダメージ過多になり、それ以降は休養に充てることになる。故障しない程度の距離で、かつ毎日こなせるとなれば10キロ程度が限度だ。で、最終日はいちんち疲労抜きに使うとして、温泉旅行に行く月曜日は抜かして火曜日から金曜日までの4日×10キロで40キロ。土曜日はレース場周りの街をウォーキングする程度の運動で本番に臨もう、という大雑把な計画を立てた。
ペースは刺激を入れる程度で、高負荷ランなどもってのほか。一日で筋肉が回復できる最低限のスピードとなれば今の状態だとキロ6分くらいか…と目星をつけ、1か月振りに道に足を踏み出した一日目(火)。気持ちいい。やっぱり身体を動かすのは好きだ。と調子に乗って気が付けばキロ5分。帰ってからシャワーして、ストレッチをしっかり。
二日目(水)。4時半起床。案の定脚が重い。筋肉痛も出た。引きずるようにしてラン。途中、このコンディションでどこまでペースを上げられるかとか考えてそれを打ち消して、というのを繰り返す。短距離的にペースを上げるのを自転車用語では「もがく」というのだけれど、短絡的に満足感を得られる麻薬みたいなもので、後先考えなければもがくのは気持ちいいのです。有酸素系のランナーやローディーがマゾと呼ばれる所以。帰ってから湯船につかってマッサージ。朝なので気が急く。ストレッチ。職場から帰ってもう一度湯船に入る。
三日目(木)。4時半起床。筋肉痛は治まっていないが、思ったよりもひどくない。脚の重さも若干は和らいだか。ペースはキロ5分半。どうやらこれが落ち着きどころのよう。淡々と距離を重ねる。体重はあまり変わらない。軽量化には期待しないことにした。レースペースで4分台が出せるだろうか。いやいや欲張っても故障するだけだ。今回のレースはおとなしく、参加することに意義を見出そう。
四日目(金)。4時半起床。筋肉痛対策は効いているよう。ストレッチは毎回欠かさないけれど、入浴がこれだけ効果があるとは知らなかった。食事管理アプリでタンパク質と炭水化物のバランスを見ながらしっかり量を食べる。
五日目(土)。深夜移動の末にたどり着いた某町の、朝市ですいとんをすすりながらそぞろ歩き。気分は破れかぶれ、そしてわくわく。こういうのを、調整がうまくいっている、というのだろうか。ハンデを自ら背負い込み、それをヒイコラいいながらリカバーしようとし、一週間調整しただけでその気になる安っぽさは如何ともしがたいが、悪くない。非力なマシンの調子を見ながらチューンしているドライバー兼メカニック兼マシン本体の自分。

市民レースに参加している一人ひとりに、それぞれいろいろな事情がある。そして明日にはみんなに等しくスタートの号砲が響き渡る。


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