ひみつ基地

ひみつ基地暮らし。

木下先生の部屋

「先生、ちょっといいですか」
「ああマルクビさん、いつも悪いね」
猫足なんですけど、レギュレート・レクチファイヤかジェネレータか、もしかしたら両方とも交換ですね。バッテリーに13Aギリギリしか流れてきません」
「うーん…SJ45A乗りはある程度覚悟しなきゃいけないトラブルだけど、痛いねぇこのタイミングの出費は」
「これだけじゃないですからね」
「タペットクリアランス調整とオイル漏れか。満身創痍だな。シリンダーは開けないでおいていいと思うけど」
「あ、シリンダーはいいんじゃないですか。コイツに限らず、DRシリーズのメッキシリンダー*1の丈夫さは折り紙付きですから」
「いっぺん腰上のオーバーホールするかなぁ。長い付き合いになるかもしれないしな。まだ市場に代替車種が出る気配もないし」
「今はスポーツバイクかアメリカンか、ちょい乗りが主流ですからね。長距離無給油航行ができるクォーターのマルチロールって、最近無いですよ」
「満タンにして林道込みで200km走って、写真撮って戻ってくる、とかのピンポイントアタックが楽しいのにな」
「流行らなさそうな趣味ですね」
「まあね」
ここのところ忌野清志觔とか栗本薫が亡くなったり、そうかとおもえば結婚する人が目立ったりして、何となく落ち着かない気分だった。
それで昨日日比谷線に乗って窓の外を見ていたときに、はっと気がついた。これは世界のメタボリズムなんであって、舞台から消える人もいれば、新しい家を造る人もいるってことなんだ。そういう時間の流れにのって僕も旧世代の人間になっていくのだろう。僕の側からみればそんなの別にどうってことはないのだけど。
韓国の大統領が自殺したかとおもえば、北朝鮮がミサイルを乱発する。GMアメリカの国営企業になって、白山で65年ぶりに雷鳥が確認された。世界は今日も動いていて、僕らは今日も退屈で。
そろそろ梅雨入り、双子座の季節である。

*1:DJEBEL250XCにはSCEMメッキシリンダーが採用されている。ことさらにDJEBEL200がメッキシリンダーを採用したことを宣伝したせいで、メッキシリンダーの話をすると「それ200だから」ていう人が多い。ていうか最近のSUZUKI車でSCEM採用してないのってほとんど無いんじゃないでしょうか。ちなみにSCEMメッキとはSuzuki Composite Electrochemical Materialメッキの略で、普通のニッケルメッキなどとは違う代物。直訳するとスズキ複合電気化学材料で、なんのことやらわからないが、硬質なセラミック粒子のシリコンカーバイド(SiC)を分散させたメッキのことらしい。これで鋳鉄スリーブを入れなくても良くなって軽量化が図れる。ということはXCではボーリングしてボアアップとかはできないってことです。