ひみつ基地

ひみつ基地暮らし。

あしたのアタシが目指すもの。

難しい。
何がって、コブの攻略である。滑走日数こそこの週末を入れて今季25日を稼いでいるものの、コブ斜面は上手く滑ることが出来ない。半分はトラウマ(37度のガリガリのコブ斜面で、斜面の半分の距離を滑落)、半分は食わず嫌いである。しかし佐倉君がコブをすいすい滑るのを見ていたら、どうも血が騒いできた。板の中心に乗ることが段々むら無く出来るようになってきたこともあり、何とかなっちゃうかも?とちょっと天狗になって来ていること、も、あり。
週末の予定がぶっ飛んだせいで、僥倖的三連休が手に入った土曜日。朝5時に移動開始。それにしてもこの時期の関越の事故のなんと多いこと。新座の料金所にたどり着く前に事故った車が引き起こす渋滞が、練馬まで続いている。
渋滞だらけの高速道路を沼田で降りて、下道を飛ばして尾瀬岩鞍へ。
「あれ?どしたんですか急に」
定宿の駐車場にレガシィを滑り込ませると、送迎バスを洗っていたトモ君が不思議そうな顔をした。
「うん、ちょっと三連休がね、確保できちゃって」
「へえ。木下さん、一人ですか」
「そう。訳あってヒ・ト・リ。でですね。泊まれるかな」
「いつ?」
「今日と、それから明日」
「全っ然、大丈夫です。大歓迎です」
こうして特訓の3日間が始まったのだった。尾瀬岩鞍はとにかく大きなスキー場で、フラットの急斜面があると思えば、姿勢矯正に丁度良い長い緩斜面もあり。でも僕が目指したのは西山ゲレンデの奥から3番目、ブナの木である。自然コブのロングコースで、モーグルバーンほど他の人の邪魔になるんじゃないかとかを気にせずにいられるのがいい。コンディションはベタ雪。エッジが走りすぎなくて丁度良いんである。
コブの攻略は、大きく分けて3つのポイントがある。

  1. 斜面下方に向かって前の板に全体重を載せ、コブの裏側を削る。
  2. ストックワーク
  3. 抜重

1について。このとき向こう脛にこれでもか!てくらい加重する。斜面でびびって足首を硬くすると向こう脛どころではなく、姿勢が後傾になってしまって親指の爪を潰すことになる。
2について。常に斜面下方に向かって身体を正対させることが必要で、これのきっかけを作るのにストックワークは欠かせない。そうしないと切り返しが間に合わないのである。
3について。抜重をしないと、切り返しが出来ず、身体が斜めを向いてしまってコブからはじき出される。
板の真ん中に乗ってさえいれば、基本的には何処に行っても大丈夫なはずなのだが、後傾になるわ、切り返しは上手くいかないわで散々。
2日目。夜にすごい勢いで降っていた雨が、山頂では若干の雪の供給もしたみたいで、コンディションは悪くなかった。朝方はね。そのうち季節外れの冬型気圧配置が尾瀬に吹雪を運んできた。雨をたっぷり吸った斜面がみるみる凍り、ガリガリになる。コブに弾かれても根性だけでねじ伏せようとして、果たせず。
3日目。雪は降り止まず、ブナの木は30〜40センチの重めの雪で埋まっている。コブを掘り起こし、ソフトな感触の雪でスピードを試してみる。やはりスピードコントロールが出来ていない。どうもターンのきっかけを作るときに後傾になってしまっているようで、板が暴走を始めてしまうことを感覚としてつかんだ。エッジを強めにかけて、ゆっくり確かめるように下る。
昼過ぎに上がり、渋滞がひどくなる前に関越に乗る。腿が、だるい。

西山第3ロマンスリフトっていうのがブナの木斜面を登るためのリフトなんだけど、そこだけ何回も乗った。夢に見そうなくらい。