ひみつ基地

ひみつ基地暮らし。

メリー・ゴー・ラウンド

スキー修行の日。今日こそはコブ斜面でも自由に板を乗りこなす!と意気揚々と乗り込んだ川場は雨。加えてダウンヒルがいい練習になる無名峰は閉鎖されていて、出鼻を挫かれる。クリスタルコースの途中から自然コブのバーンに行けるのだけど、そこに行き着くまでとそこからの下り、リフト乗り時間を合わせると1サイクル15分(休憩ほとんど無し)。6時間滑っても都合24回しか練習出来ない。その斜面だけハイクアップしようかとも思ったけれど、ただでさえ筋肉を酷使する練習なので、脳内にその考えが出てきてすぐ、一瞬で却下する。考えようによっては毎回反省する時間が取れるわけだ。
コブ斜面で、緩んだ雪を削ると、カリカリの時の「シャキッ」ていう感覚ではなく、アスパラガスの食感のよう。強引に擬音で表すと「ブキブキッ」ていう感じ。これを連続で感じられると、気持ちよい。
スピードを出すためにはコブの裏面でなく、板を斜めに当てて側面を削るのが良さそうだ。あと後ろに体重が残る癖が抜けず、次のコブにスムーズに繋がらない。次回の課題。
16時上がり。帰りの関越は相変わらず混んでいて、嵐山小川を頭に渋滞。眠くはならないけど、安部礼二を聴き終わってしまうとやることが無くなってしまい、退屈だった。カーオーディオのボリュームを上げて、カシオペアの最初期のアルバムを聴く。超絶テクの応酬。久々に楽器をいじりたくなった。
渋滞を抜けて、練馬ICを下ると東京は夜の7時(笑)。CDが切り替わって、ドビュッシーの「子供の領分」が流れだす。雨が時折ばらつく目白通りを、「グラドゥス・アド・パルナッスム博士」の軽快なピアノの旋律が駆け抜ける。濡れた街が光を乱反射して、いきいきと輝く。
板橋物置部屋の駐車場は、5層に屋上スペースまである巨大な立体構造物で、何かのアトラクションの外側みたいに無愛想な夜間照明が当てられている。僕はレガシィを滑り込ませ、ドビュッシーを鳴らしながら、並み居る観客ならぬマークXやらVOXYやら、セルシオやらベンツやらの鼻先を、ゆっくり通っていく。
アラベスクの1番(大音量)をBGMに、蛍光灯に照らされたそれら車達が次々に後ろに流れていくのを、パノラマみたいに眺める。まるで大人のメリー・ゴー・ラウンド。