ひみつ基地

ひみつ基地暮らし。

夏が終わらない。

「先生、しょっぱい顔してますね」
「久しぶりだね中目黒君。夏休みはいかが過ごされましたか」
「両親を連れて、というか両親に連れられてドバイに行きました」
「呉服屋って儲かるんだね」
「うちは古くからの御贔屓筋からの注文がメインですから、儲かったりすったりはあまり無いんですよ。そういえば」
中目黒君の目がきらきらしている。この男、下世話な話が三度の飯より好物で、こういう顔をしているときはそーゆーときと相場が決まっている。
「中目黒君、マルクビさんから先週末の僕が付き合わされた旅行の話を聞いたね」
「なんか面白いことあったのですか」
「無い。むしろ面白くないことばかりだったよ。予想通りの展開さ。行き帰りの車の中で若い女の子としゃべったのは興味深かったけどね。金澤出身の子で、微妙に行動範囲が被ったのもよかった。デートは柿ノ木畠のぶどうの木でねーとか」
「そんなローカルネタ、他の人にはわからないですよ」
「いいんだよ。こっちは自分なりの楽しみを見つけるので精一杯だったんだから」
「その行事で、先生の夏は終わりですか」
「いや、まだまだだよ。昨日だって西武園でスキージャンプの練習をしてきたんだ。これは夏っぽかったね」
そう、佐倉君と三水さん、川本さんと誘い合って、初めてs-airに行ってきたのでした。水が汚いのが気になったけれど、エアの感覚がどんなものかが分かった。あれはハマるな。また行こうね、ということになり、9月はあと2回くらい行くのではないだろうか。
10月になればまたスキーシーズンが始まる。シーズン券を買う相談を仲間でしなければいけないし、新しいウェアを早く決めなければならないし、ヘルメットも新調しなければならない。スタッドレスの貯金もしなければいけないし、やることがたくさん出てくる。
それまでに残りの夏休みをとらないと。今年の夏は、1年お休みしていた自転車遠乗り旅行をすると決めている。残り3日を9月前半に集中投入して、目指すのは南紀あたりかな?青い水ハンターとしてどこかの青い水を撮ってこようと思っているのでした。
「今年の自転車通勤の成果を試してみたいんだ、軽量化にも成功しているし、代謝も19歳レベルまで上がっているし」
「なんか得体の知れない人になってきましたね木下先生」