ひみつ基地

ひみつ基地暮らし。

サマータイム・イン・ブルー。

「先生、もってきました。だけど何ですかクーラーボックスとフリスビーって」
「ああ、マルクビさんありがとう。いやはや、参りましたよ」
「なんですか、しおしおな顔して。先生らしくもない」
「ちょっとね、失策をね」
明日からキャンプに行くことになりました。一緒に行く人たちは、男性8人、女性5人の大所帯で、あまり知らない人たちです。
気心も知れていない連中とのキャンプに何故、参加させられることになったかとゆーと、レガシィ目当てなんである。つまり僕は運転手。ドライブ自体は嫌いではないのだけれど、このキャンプ企画には問題がある。
経験上、主催者が自意識が強くて、女性には弱くて、配車割り振りとかゲーム機を持ってくるべきかどうかとかに気を廻しすぎるイベントっていうのは、まず面白くない。
それ以前に目的がはっきりしない。「さわやかな高原でラフティング等を楽しみながら夏のアウトドアを満喫しましょう」って、一見何かやりそうだけど明確な目的が分からない。スキーやサイクリング、テニスだったら何をしにいくか分かるけど、アウトドア満喫て。はっきり言っちゃえばネタは何でも良いから女性陣を連れ出していちゃいちゃしてみたいっていうことなんでしょ。けれどそれが出来る人間はこんなイベントの手を借りずともよろしくやっているものである。
何しに行くのか明確でないままアウトドアだキャンプだっていうふにゃふにゃした旗印の基、一泊二日の移動と消耗に乗り出そうとしている。こういう、手段と目的のすれ違いをやってしまう手合いは、強烈なベクトルでもってイベントを推進することをしない。そのくせ女性を甘やかす。目的の不明確さもあいまって、女性の自主性をスポイルしてしまう。そうなると女性集団はお荷物かつ発言力だけ強い使えない五平餅のカタマリみたく変化する。男性陣は疲れ果て、女性陣はたいした罪悪感も無く、あんまり面白くなかったよねー今回のキャンプ、とか言い放っちゃう。もう見え見えなんだ。案の定二日目は玉原ラベンダーパークを散策だそうな。それを聞いたときに僕はわが身の脇の甘さを悟った。残念なことにそういう面子であることに気づくのが一週間遅かった。違和感は最初から付きまとっていたんだ。若干のスケベ心がその違和感をあまり大きなものと捕らえられなくしていたっていう恥ずかしいおまけつき。
「自分でイニシアチブとっちゃえば良いんじゃないですか」
「いやだね。この歳になってそんなにギラギラしたくない」
そんなわけでこの週末、木下は面白くもない避暑に行ってきます。いっそのこと、このくそ暑い帝都にとどまって自転車トレイニングなどし、しかる後にインセプションでも観に行けば楽しい週末だったかもしれません。自分がどうやって盛り上がるかだけ考えようと思います。得意なんです目立たずに盛り上がるの。