ひみつ基地

ひみつ基地暮らし。

雪遊びシーズン開幕

さかのぼること26日の夕方。年末は早めに休みを取ろうと思いつつ、結局仕事納めまで働いてしまった。とにかく人間らしい生活をしていなかったので、帰りがてら生活必需品の補給に無印良品に寄る。混んだ店内で品物を選んでいるとき、携帯電話が鳴った。
「もしもし」
「木下君?今何してんの」佐倉君からである。スキー仲間で「わたしをスキーに連れてって」フリーク。今日から彼とシーズン初めの合宿に行く約束をしているのである。
「いま無印良品でパンツ買ってる」
「あそ。20時30分くらいに行くからね。あと自分の飲む分お酒を買っといて」
「らじゃ」
家に帰って洗濯をし(下着のストックが全然無くなってたのだ)、風呂に入り(2日ぶり)、人心地着いたところで間髪入れずに佐倉君がエプロン脇に車を滑り込ませる。21時に出発。
前日まで雪が少なく、どこに行こうかを迷っていた。白馬は遠い。奥只見もアクセスには難あり。あとはかぐらみつまた田代か、てことで、先シーズンの滑り納めのかぐらみつまたエリアに、初滑りでも行くことになった。関越に乗り一路北を目指す。帰省ラッシュ前の静けさで、スムーズに流れすぎて深夜割り対象になりそうになかったので、赤城高原SAで時間つぶし。そこで見た路面状況モニターが衝撃だった。湯沢IC付近の路面が真っ白なのである。
「佐倉君」
「降ってるね!」
「こりゃコンディション良いな」もうにやにやである。昨日までの雪不足情報はなんだったんだ。
赤城高原からは運転交代。僕はペーパードライバーなんだけど、こういうときに運転するのは嫌いじゃない。湯沢で降り、17号線を南下。途中峠道でタイヤがぎゅりぎゅり音を立てるくらいの積雪になった。
「佐倉君」
「なによ」
「今ねぇ、ちょっとドリフトしたぞぉ」
「エホッンッホゲホッ」どうやら気管支炎を患ってるらしく、病に障る話をすると咳き込むようだ。
「内蔵吐くなよ佐倉君」
1時過ぎに宿に到着。
次の日とその次の日は強風で付近一帯のスキー場のリフトが最小限しか動かず、かぐらみつまた田代苗場で、少しでもリフトの動いているところを探してボーダーとスキーヤーが右往左往するハメに。僕らはシーズン初めということもあって、初日は田代の第一ロマンスまわりでみっちり基礎連(っていっても新雪にはしゃぎまくって半分雪遊び)2日目は比較的広範囲にリフトやゴンドラが動いている苗場で滑って徐々に先シーズンのカンを取り戻してきた。
そして3日目。
朝起きると、窓の外は快晴。ずっと降り続いていた雪がやみ、それと同時に風も薙いできていた。宿の食堂に降りていって、掲示板に張り出されたばかりのゲレンデからのファックスを見ると、田代が全面営業予定となっている。今まで指をくわえて見ているだけだった田代・かぐらの新雪斜面で遊べる。雪はここ3日間たっぷり降って、しかも誰にも荒らされていない!そうとなれば早朝駆けつけである。朝食を早めに取って、ゲレンデに乗り込んだのは8時半。第1ロマンスリフト下を駆け下り、第2ロマンスへのスケーティングのもどかしいこと。第4,第6と乗り継いでたどり着いたダイナミックコースが、ふわっふわの新雪
「佐倉君、家族と喧嘩してまで来て良かったねぇ」
「オフッエホッゴホ」普段弁の立つ男なんだが、今回は気管支炎に祟られてどうにもいかさない。馬鹿話は盛り上がるんだけどね。