ひみつ基地

ひみつ基地暮らし。

サラリーマン木下未来

「よう、木下」
「馬場崎じゃないか。どうしたんだい」
「聞いたぜ。なんかニセコに行くのに大遅刻やらかしたんだって?」
「なんで馬場崎んとこに情報がはいってるんだよ。それから勝手に白い恋人喰うな。それ職場に配るんだから」
「一緒にスキーに行く予定だったクライアントから仕事関連の知り合いに満遍なく問い合わせが入ってたぜ。俺のところにも。ほら、何て言ったっけあの人」
「ムラサキさんだろ。馬場崎んとこにも連絡が行ったの?大体頓狂なんだよあの人のすることって」
「飛行機のチェックインの時間に現れないんですが、木下さんの連絡先分かりませんかって、偉い剣幕だったけど。おかげで三部合同の大捜査網が出来たみたいだぜ」
「ああ、明日職場に行くのが憂鬱だよ」
「何で遅刻したんだ」
「前日にちょっとした飲み会があったんだ。そこで説教を食らってね」
「なんの説教よ」
「涼音ってだれよ、とか、あんたオンナの扱いがぞんざいなのよ、とかさ。大体ぞんざいにできるくらい贅沢な立場だったら今頃もっと華やかな私生活送ってるって話だよね」
「涼音が何故話題に上る」
「なんかさぁ、中目黒君がいろんなところで涼音の話をするらしいんだよね。無いこと無いこと」
「しょうがない野郎だな。でも、それがどうクライアント相手の営業スキーの遅刻と関係するんだ」
「帰るに帰れなくなってね。全部説教を聞いていたら3時になって」
「おお」
「次の朝起きたら11時半になってて」
「…」
「何とか追っかけたんだが、結局初日は飲み会にしか参加できなかったよアッハッハ。いやでも11時半に起きてニセコ19時飲み会参加って、結構優秀じゃないかと思うんだが」
「…お前って、つくづく阿呆だな」
「ほっとけって」