ひみつ基地

ひみつ基地暮らし。

こんな夢を見た。

僕はすごく狭い筒の中をずっと滑り落ちているようなのだ。気配がするだけで実感が湧かない。何せ視界は漆黒で塗りつぶされているのだから。
そのうち止まっていることに気がつく。真っ暗。腕を動かすと目の前に壁があることがわかる。コンクリートのような、木の皮のような手触り。不思議と焦りはなく、これはどんな状況なのだろうかっていうことに興味を持つ。そのうち、僕の周りを包む殻様のものは明らかに有機的な手触りを持ち始めた。鉱物ではなく植物のセルロース系の硬さである。
さわり続けているとその殻は、どんどん柔らかさを増していき、そのうちばりばりと音を立てて外側からはがされ始めた。まるでアイスクリーム・コーンを囓るみたいな音だ。
殻の隙間から光が射して、外はジェリー・ビーンのような色の洪水。よく見ると色とりどりの猫のぬいぐるみが大量に積もっていて、取り払われた殻の隙間から僕の上に降りかかってくる。うずたかく積み上げられた猫のぬいぐるみの中を泳ぐ僕。その中に幾匹か本物が混じっていて、僕をひっかく。周りにいる子供達が笑いこけている。本物の猫を混ぜたのはこの子らのいたずらだったのだ。
腹を立てた僕は本物の猫をつかみ上げ、笑い転げる子供に押しつけて猫の爪を立てる。