ひみつ基地

ひみつ基地暮らし。

長いお休み。

スキーシーズンは5月16日で終わった。総滑走日数37日、昨年よりも長いシーズン。収穫は、なんといってもコブ斜面に入れたこと。スキーのログを読み返してみると、2月20日あたりに行った尾瀬岩鞍でバブちゃんに言われたことできっかけをつかんだことがわかる。そのとき、付き合い程度にブナの木に張り付いていた僕をコブのラインに誘い、何回かレクチャーをしてくれた後に、バブちゃんはため息混じりにこう言ったのだった。
「なかなか上手く降りられないね」
「そうだね」
「木下の板は硬いし、反発が強いから取り回しが難しいのかも知れない。あと、ブーツも硬めだからな」
サロモンの180を履いたバブちゃんは板をしならせた。
「あまりこじらせようとせずに、足首の力を抜いてコブの谷斜面を舐めているときは板の動きを妨げないと上手くいくんだけどね」
「…ふーん」
じゃあ、フラットバーンに行って新雪であそんでくるわ、とバブちゃんが行ってしまった後、僕はもう一度西山第3ロマンスリフトに乗り、頂上に立って深呼吸する。白く吐き出された息が風に散る。最初の緩斜面のちまちましたラインは流して、急斜面の自然コブの上に立って、下まで続く素直なラインを選ぶ。コブのトップに立って谷足を斜面に沿わせ、真下に降りる。足首をフリーにして。テールが前気味になるが、挙動は板に任せる。とにかくコブの下までいけたら止まろう。と、考えていたらコブの下に着いた。次のコブのトップに出るためには少し推力を残しておくようにしないとな、なんて考えながらずるずる滑っていたら、斜面の下に着いていた。
不器用な、たどたどしい挙動。でもそんな事は関係ない。もっと先に行ってみたい。そのときそう思った。ソリッドでリアルな手応えの、シンプルな想いは武器になる。新しいシチュエーションを得てテクニックがボトムアップされていくのは、やっぱり楽しい。
大事だなと思ったのは不必要な力を抜くことと、力を入れなくてもいいようにすること。これは普段から意識していると身体の動きに無駄がなくなって、動きが美しくなる、ような気がする。あと、課題を裸にして、出来るだけ負担をかけないようにすること。
先週、板をチューンナップに出した。スキーは半年くらいお休み。季節は夏に向かって足早に動いていく。