ひみつ基地

ひみつ基地暮らし。

河の流れる街。

仕事がはかどらず、悶々と過ごした今日の帰り道、薄暮の中すっ飛ばす僕の脇を流れる荒川は鈍色に光る。最近気がついたのは、ここは自転車通勤のルートであると同時に、空き缶拾いのおじさん達の運搬路であり、町工場で働く職工さんたちの通い道であり、犬の散歩道であり、中高生達の通学路であること。
夕方、銅桃色の大気の中、タオルを頭に巻いたランニング姿で、がに股にママチャリを漕ぐおじさんやら、太ったジョガー達の間をすり抜けながら板橋物置小屋に急ぐ。そんなときとうとうとたゆたう荒川の河面が見えるところでは、僕は河面を見ながら走る。街全体が家路を急ぐ雰囲気に包まれて、夏の夕暮れ感が満ちた大気の中で僕は走っている。
さあ、帰ろうお家へ、と僕は独りごちる。家では昨日作ったカレーが待ってる。