ひみつ基地

ひみつ基地暮らし。

秋だろ、秋っ。

放課後飲み会の予定。
開催趣旨はこんなの。今夏、美樹武君が就職試験を、志摩が昇格試験を、それぞれパスしてお祝いの会をしていたら、後日北山が「いちおー、あたしも合格したんだけどな」と涙目で絡んでくるのでした。北山は某官庁の試験を受けていて、一応は名簿搭載までされている。けれど採用枠が少ないせいで内々定を出すことはできません。と冷たく言い放たれて、泣き暮らしているのだとか。さらに合格者情報交換サイトで合格した人が現在の仕事を途中で放り出して遊び暮らすさまを公開したものだから、悔しいやら怒りまくるやら。不幸な子だ。おまけに仕事が忙しくて肌荒れとアレルジーを併発してしまっている。
「見ちゃおれんな」
「木下ちゃん、何か段取ってあげなよ」と言ったのは志摩。「なんせ、僕の立場じゃ何やっても嫌味だから」
「そうだね、ちょっとやってみるか」
北山の知り合いや先輩を数人見繕って声をかけたら、反応が芳しくない。理由はリプライメールですぐ分かった。曰く「北山、駄目っぽいけど合格祝いなの?」
「一応合格だから、って本人は言っているし、腫れ物に触るみたいな扱いすると却って北山気を遣っちゃうし、あんまり考えないことにしました」
段取りを進めるうちに北山と美樹武君の就職指導してくれた恩師も呼ぼうとかいう話になり、こじんまりとした内輪の会が盛大な宴会になってしまった。
「もー!身を置く場所がなくなっちゃったじゃないですか」と北山。本当に不幸な子。きっと今日はしたたかに飲んで泣きながら美樹武君と志摩に殴りかかる様子が見られるんじゃないだろうか。美味しいお魚を食べさせてくれるお店だから、勘弁してくれ北山。君の好きな秋刀魚の塩焼きを奢ったげる。