ひみつ基地

ひみつ基地暮らし。

累積滑走日数22日。

尾瀬岩鞍。
しばらく快晴が続いて、緩んでは冷え込むというのを繰り返したバーンは、硬めに仕上がっている。基礎の連中が散々回して滑ったせいで横向きの深堀をしているモーグルコースを、息を詰めて検分した後、おもむろにテールを左に振り出して滑り始めた。深いギャップは膝を胸に当てるくらいに脚を引き上げ、すぐにこぶの裏に添わせて差し込む。シャキシャキしたスライドの感触が板からブーツに伝わる。中盤のピッチが詰んでいるところは踏む感じで、後半の間延びしたこぶはラインなりに、スピードをコントロールしながら。滑り切った時には息が切れていた。
斜面の下で待っていたのは佐倉君とバブちゃん、下井草さんのこぶ斜面好きの面子。
「…どーしちゃったのよ木下」
みんなの目が丸い。これこれ、この顔が見たかったのでした。
「破綻無しにスライドターンで通しで?どんだけ練習したのよ」と下井草さん。
「そりゃ、金さえ掛ければ、ね」と混ぜ返す僕は、内心有頂天なんである。
2週間前の村田旦那と違って、ごりごりのモーグル指向なこの人達に驚かれるのは、相当変身した証左になる。
これって自分的にはすごく意味があって、前向きな変化への舵取りについて、僕はまだコントロールの主導が出来るということを証明してみせたことになる。概念上の正否をあーでもないこーでもないとひねくり回すのと違って、フィジカルな成果は有無を言わせない説得力がある。この得意満面感。3日間、僕は自分に対して王様気分だった。それ以外はいつものバカ話の応酬と体力の限界を越えた練習。
以下、印象に残ったエピソードなど。

木下「下井草さーん、ほら、鏡面仕上げにこだわってデラ掛けしてみました」
下井草さん「バカ、ちゃんと雪を固めないと駄目でしょ。木下のは撫でてるだけになっちゃってるんだよ」

  • 新座料金所手前の事故現場にて。

バブちゃん「ほほお、これが祭り会場か」

  • 前回、「がんもどき」の安普請なドアから18禁っぽい声が漏れていた部屋があった!という話で盛り上がっている時。

バブちゃん「なぬ、この宿にもそんな祭りが?!」

  • 練馬料金所通過後の強引な割り込み後。

木下(バックミラーで譲ってくれた車を見ながら)「ユニオンジャック模様のキャップ被った奴なんて、たいした人間じゃないですよ」