ぶれーどらんなー

土曜日、0600起床。レガに火を入れ、朝霞に向かう。
駐車場でお茶を飲んでいたら、隣にカローラが滑り込んでくる。
「よう、木下先生」
「重先生、久しぶり」
今日はオフトレで、室内リンクでインラインスケートである。インラインはスキーに比べてセンターポジションがシビアで、板の真ん中に乗る感覚を鍛えるにはもってこいなのだ。
以前ナガトシと戯れに買った自前のスケート靴を使おうと思って、久しぶりに足を入れてみたら、程なくバックルがもげる。
「なんだ、壊れたのか」
「シェルが加水分解したんだね。こりゃ駄目だ」
「無料だから、レンタルブーツを使ったらどうだい」
「うん、そうしてみようかな」
久々に、というか、ほとんど初心者である。今をさかのぼること11年前、インラインスケートを始めた瞬間に剥離骨折して以来、スケートブーツにさわりもしていなかったのだ。そりゃ分解もするわ。しばらく滑ってみるが、スキーで鍛えたセンターポジション感はインラインでも案外有効で、そんなに派手に破綻することなくしばらくは滑っていた。しかし、暫くしたら足が痛くて続けられなくなってしまった。余剰骨の多い足形はレンタルのルーズなブーツだと靴擦れしてしまうのである。
仕方がないので、壊れたマイブーツのバックル部分を靴紐で縛り上げて滑ってみた。足首の固定が甘くて、おっかなびっくりである。あまつさえバキバキ音がし始めた。
「おい、何か落ちたぜ」
見るとコートのあちらこちらにシェルの破片が散らばっている。横加重をかけるたびにシェルのヒビが進行し、破片が剥離する。
「こういうのジブリの映画で見たことあるな」
「だんだん壊れていくメカか。カリオストロの城のクラリスが乗っていたシトロエンとか」
実走4時間。台風の接近で不安定な空模様のなか、いったん家に帰ってスキー板を積み、小川町ワンゲルへ。来シーズンに向けてチューンナップに出した。それからS-FOURに寄って、オフトレ用のインラインで良いのがあるか相談。FILAのNRKを足に合わせてみて、結局その場で購入。
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そうなるとシェイクダウンしたくなるのが人情というもので、家の近くにあるインラインリンクに早速持ち込んでみた。足首が安定するのは当然として、思ったよりスキーっぽい動きが出来ておもしろい。調子に乗ってぐるぐる回っていたらすごい勢いでトランジションをしながら追い抜いていくおっさんが来た。インラインではなくクワッドで、次々とトリックを決めるその様は光GENJIのごとし。とにかく上手い。そのうちもう一人、恰幅のよいおっさんが加わる。2人とも次々とスーパーテクを披露する。おっさん2人と僕だけになった時に、いくつか基本のキを教えてくれた。
・スタンスは狭めにとって、あまり重心をぶらさない方が良い。
・片足に乗ってもう一方の足を前に出すコーナリングが出来ると良い。
・上体はかぶせず起こし気味にして、膝を使って安定させる。
スキーとは違う部分もあるけれど、重心をコントロールするやり方は似ていて、オフトレになるのがよくわかる。おっさん達は毎週土曜日21時くらいに遊びに来るとのことで、今度また気が向いたら遊びに行ってみよう、と思った。