ひみつ基地

ひみつ基地暮らし。

rambling cats.

新聞を取ろうと板橋物置部屋の分厚い鉄の扉をあけると、風が渦をまいた。寒い朝である。
近くの工事現場の番小屋脇には旗竿が建っていて、クレーン作業用の吹き流しは真横に泳いでいるから、風速は多分、8メートルから10メートル。そして西風だ。つまり、追い風で通勤できる。
season in the sunを口ずさみながら青猫を引っ張り出し、エプロンに降りる。身体の周りで空気がうねり、ストラップが踊る。筋肉が緊張するほど寒い!そして楽しそう!
戸倉橋からの河川敷は、巨大なトレンチ構造の中を山おろしの風が吹き抜けるエアシューターだ。落ち葉やゴミが乱流の軌跡を描いて下流にすっ飛んでいく。青猫を乗り入れると身体ごと持っていかれる感触があって、スピードがぐんぐん伸びる。
向かってくるローディは皆苦しそうな顔。ちょっと申し訳なく思いつつ、風に乗って距離を稼いだ。
こういうときは、どこか遠くに行きたくなる。同じようにうずうずしているらしい恩田くんを誘って、伊勢あたり攻めてみようかな。