ひみつ基地

ひみつ基地暮らし。

Steppin' Into The Northern Island

今年も行ってきました北の大地に。猫足の車齢は9歳、そろそろいろいろとガタが出てきてライダーを悩ませたり困らせたりするのですが、それがまた愛しいのです。
出発は7月21日の早朝でした。前日、資料の整理や旅行で不在にしているときの引き継ぎ事項などをまとめているうちに22時になり、ルーティングやらパッキングやらが全く出来ていない状態で出発の日を迎えてしまいました。決まっているのは行きと帰りのフェリーだけ。後どうしても行きたかったのが白糠の北にあるシュンクシタカラ湖という湖。20kmのダートに阻まれたその湖は、秘境感たっぷりの趣をもって私を誘うのでした。
フェリーに乗る時間まで余り余裕が無く、満足なメンテもせずに走り出した私と猫足が本格的なトラブルに直面したのは渡道して3日目のことでした。天候にも恵まれ、気持ちいいクルージングで狩勝峠を越え、清水ドライブインで牛トロ丼を食べたりしながらひたすら38号線を東進して音別〜白糠にさしかかろうかというとき、それは起きました。ずっとハイペースだった車の流れが滞ってきたので、シフトダウンしようと思ったら左足のつま先が空を切ったのです。
「…」
シフトペダルが脱落していました。かなり長い間5速から6速で走っていたので、15km程度行ったり来たりしてみましたが結局見つけられず、ガソリンスタンドに駆け込んで店員に相談。知り合いらしいバイク屋さんが駆けつけてくれて他のバイクのペダルを移植しようとするも果たせず、結局釧路のバイク屋まで走ることと相成りました。その距離約40km。
その時点で問題は2つありました。
1.バイクが比較的珍しく、適合するパーツが取り寄せになる。
2.5速か6速で固定されたギヤで、40km走らなければいけない。
あ、今年の夏旅行終わったかも…とは思ったものの、幸いにして陽はまだ高く、とるものもとりあえず走り出すことに。メンテの甘さを恥じつつ、一方ではトラブルを楽しんでいる自分もいたりして、何とも複雑な気分でした。街と街の間は信号もなく、比較的スムーズに進行したのだけれど、街にはいると信号のたびに冷や冷やしました。何たってこちらは野営道具を積み上げたフル装備で、カメラボディとレンズ2本、三脚もあわせた荷物の重量は30kg近くなのです。信号が赤だと長距離トラックのようにゆっくりとアプローチし、止まった時は冷や汗をかきながらそろーっとクラッチをあわせつつ2輪2脚で発進。
悪戦苦闘しながらたどり着いた釧路のNorthFoxというショップには、当然、純正のパーツはありませんでした。まあこれは覚悟の上だとして、ひとつ望みがあったのは、このショップがオフのレースに参加しているということ。そういうお店は現場にある部品で間に合わせの修理をすることに比較的強いのではないかという読みがあったのでした。
いわばメンテ不良(これは凄く恥ずかしいこと)のごままぶし猫足を、ショップの社長は凄く親切に迎え入れてくれました。人の親切が身にしみるとはまさにこのこと。しばらく悪戦苦闘してくださり、ありもののシフトペダルをびったしに調整して装着して頂きました。あのときは本当に有り難かったな。今日の写真はそのお礼状に描いたイラストなのです。この場でもお礼を言ってしまおう。ありがとうございました。
次の日たどり着いたシュンクシタカラ湖は、人っ子ひとりいない静かな、そしてとても美しい、神さまが住むような場所でした。その話はまた別の機会に。きれいな写真が撮れました。それにしても帰ってきてからの仕事の刺激的なことよ!たるんだ脳みそにびしびし決まってくる…。