ひみつ基地

ひみつ基地暮らし。

「海嶺」読了。

久しぶりにのめり込む。っていう話は昨日も書いたけど、こんなにのめり込んだのは久しぶりだった。三浦綾子って、カトリックの作家のイメージがすごくあって、僕もカトリックと言うバックボーンもあったりするので、押しつけがましいキリスト教の話ってあまり好きじゃない。僕にとってのカトリックは空気みたいなものだし。
でも今回の「海嶺」はそんな僕の先入観をブロウオフした。読ませる文章と、骨のある背景固め。後書きに、ここは創作で、ここは史実に基づいているっていうのをある意味突き放した表現で記してあるのも好みだ。そして岩松(後の岩吉)に関心を持っているっていうのも共感(ていうか、岩吉情報は三浦綾子経由でしか取り入れていないのだから当然と言えば当然)。岩吉は後に、香港に渡って、それから寧波で姦通していた妻に殺されている。泰然としたいい男だが、故郷に置いてきた妻と子供の消しがたい記憶をずっと大事にしている、というイメージを作者から植え付けられていた僕は、「何とも無残な話だが、私は何となく、岩吉が抵抗もせず妻に殺された気がする」という作者の後書きに「そうだろうな」と納得していた。
とりあえず、面白かった!そして疲れた。