ひみつ基地

ひみつ基地暮らし。

不真面目に雪遊び。

佐倉君ん家からレガシィを譲ってもらった。早速、年末衝撃の結婚宣言をした古葉君と、古葉君の彼女と、を乗っけて雪遊びに行くことにする。深夜、合コン中の渚からメール。
「寝坊に備えて、ワンコール下さい」
着信は午前2時30分。こいつフルコースに付き合うつもりだな?と、古葉君結婚報告パーティの3次会上がりに桂花ラーメンを平らげた時の、渚の満足そうな顔を思い出す。レガシィにガスを入れ、渚をピックアップしに行く。途中電話を入れても連絡が取れず、トラブルを予感させる滑り出し。
アベルを5回程鳴らすと、20分くらいして渚が顔を出した。
「スミマセン、ちょっと色々ありまして…」
「何だ渚、彼氏ともめ中か。そして何その森ガールっぽい服装は。可愛いけど」
「彼氏とはもめてませんよ!実は携帯を落としました」
「どこで」
「タクシーの中で。結局3時半まで呑んで、ちょっと仮眠を取ったところなんですが」
「君ね、雪山嘗めてるでしょ」
「準備できなかったので、とるものもとりあえずこんな格好で来てしまいました。もう、踏んだり蹴ったりです」
いったん板橋物置部屋のエプロンまで戻り、アウトバックでやって来た古葉君と落ち合う。
「木下さんおはようございます。何なんですか、一体、渚のあの格好は」
「3時半まで合コンで盛り上がった末、ああなったんだと」
「????」
エプロンにアウトバックを収納し、レガシィに四人乗りして向かった先は玉原。途中の山道は、一面の雪景色。そしてギルギルときしむくらいに凍って締まった粉雪の路面。当然、素人ドライバーが意識せずに繰り出すドリフトの連続で、車内一同は盛り上がったり盛り下がったり。
雪遊びは3年ぶりという、堅実な滑りを見せる古葉君の彼女と、どんな斜面でも果敢に突っ込んでは、ぎゃん!という声とともに大クラッシュをする渚のコントラストが面白くて、古葉君と大笑いする。
本日何回目かのクラッシュで雪まみれになった渚が目をしぱしぱさせている。
「あたしコンタクト落としました」
「なにやっちゃってんの」
「普段運動の時には付けないハードを使っていたんです。換えてくる暇がなかったんです」
さすがに落ち込む渚をしばらくいじくって遊ぶ古葉君と僕は、残酷なのか、それとも実は気を紛らわせるために気を遣っているのかという話でまた盛り上がる。