ひみつ基地

ひみつ基地暮らし。

リバーサイド・エクスプレス。

金曜日のこと。
自転車通勤2日目。思ったより順調に、生活は新しいペースに馴染みそうな気配。
朝5時に起床。ラジオのスイッチを入れ、フライパンに油を引いて適当に炒め物を作って弁当箱に詰める。その間にコーヒーを落としておいて、マグカップに注いで、ミルクに浸したシリアルと一緒にリビングに持っていく。ラジオを聴きながら朝ご飯を済ませ、それから新聞の一面をチェックしながらトイレに入り、洗顔とひげ剃り、デンタルフロスと歯磨きをする。そろそろ7時。
前の日に着替え一式を入れておいたオルトリーブを背負い、青猫を引きながらエプロンに向かう。軽いストレッチをしたあと、サドルに跨って、クリートをばちん、と填めて、人影のまばらな道に走り出す。戸倉橋から川沿いのサイクリングロードに入り、あとは約20キロ、早くたどり着くことに意識を集中する。温度も湿度も高い今、汗が噴き出して大変な状態で、職場に到着。8時。
職場にはシャワールームがあるのだが、何故か鍵がかかっていて、電話で庶務担当に問い合わせをしたら、対応に出た女性は、「一個人にシャワーを使わせるわけにはいきません」的趣旨のことをすごく感じ悪く応えた。
この個人という言葉の解釈が僕の頭の上に特大のクエスチョンマークを浮かばせているのだ。「個人的な趣向に会社の備品および経費を使わせるのは社則に合わない」ということなのだろうか。それとも、「一人だけで浴びるのは効率が悪い」ということなのだろうか。けれど、前者に関しては僕は自転車の通勤の許可を貰っているわけで、通勤は会社の業務としては認められていないということなのか。後者についてはもっと不可解。会社にとってシャワーとは集団で浴びるものなのか。
ごめんなさいへりくつです。
いずれこの問題については、もう少し詰めてみようと思っている。
そもそも、自転車通勤に対してみんな何故か後ろめたいものを持っているみたいで、小声で「木下自転車で通ってるんだって?いいよな、オレ応援するよ」的なことを言ってくれちゃう先輩がいたりするのが不思議なんである。
閑話休題
とりあえず、僕の歩いた後にはナメクジかってくらい汗の痕がつくので、急いで水場まで行って頭を流水に浸し、身体を拭くんだけど、このときの水のありがたみというか、綺麗なことといったらない。透き通って冷たくて、こんなに有り難いものが蛇口をひねるだけで大量に出てくる日本って素晴らしい!と本気で思う。例え、それがモップ洗い場の水だとしても、だ。
この通勤経路は、夜景がまた素晴らしくて、荒川の沿岸に広がる高層マンションの灯りやら、中央環状の橋がライトアップされているのやらが水面に映って、周りに人気がないというシチュエーションも相まって文字通り息を呑む(と、自転車乗りをしていると苦しくなってしまうので、適当に呼吸は再開するけど)光景なのである。