ひみつ基地

ひみつ基地暮らし。

あらしのあと。

ドラ・ド ヨングの長編ともいえない長さの(あるいは抄訳だったのか?)岩波少年文庫のが読みたい気分になっている。「あらしのまえ」とセットで。「おかあさん、ゆきがふってる、ゆきがふってる」と歌うようにいったのは誰だったか。

あらしの前 (岩波少年文庫)

あらしの前 (岩波少年文庫)

あらしのあと (岩波少年文庫)

あらしのあと (岩波少年文庫)

土曜日は嵐の中を中央高速にのって山梨に行った。普通にメシを食って普通に日本シリーズを観た。日本シリーズの地上波放送が無いって、時代なんだろうか、と、最近になって野球の面白さをわかりそうになっている僕がつぶやくと、木下野球観るの?全然興味なかったじゃん、とか混ぜっ返される。
ここは甲府の中心部に近い住宅街の深部。木楢の家は昔からたまり場で、漸次と僕と3人で、たまに遊んだり酒を飲んだりする。ダイ・ハード4.0を観ていたらブルース・ウィリスの声が全然違って「あれ?野沢那智はどうなっちゃったんだよ」って言っていたらお亡くなりになってました。声が違うと全然キャラクターが違って見えるのに、今更ながら驚く。
なんかこのハッカー小僧若いときのコリン・ファレルみたいな顔してるな、なんていっていた時、北山から電話。遠慮なくテレビルームで話し始めた僕に容赦ない2人の蹴りが飛ぶ。そりゃそうだ。ごもっとも。おかげで僕もラストを見逃した。寝室に蹴り出された僕は、寒い中毛布にくるまりながら「何よ」と訊いた。
「うー、いらいよきのしら」
「どうしたの?」
「あらし、顎関節症になっらみらい。口が開けられらいろよ」
「親不知じゃなかったのか」
「そう。らから歯医者に行からくて正解」正解じゃない。整形外科に行け。北山は病院が大嫌いだ。仕事の忙しさを理由に病院に行かないで済ませている。
「あらし血尿も出してさ」尾籠な奴である。もっとも僕も人のことを言えた義理ではないのだけれど。
「若いおんらの子に多い、ストレスから来る病気、らんれすってよ、両方ろも」
「そう、わかいんだー。痛いの」
「うん、いらい。ねむれらいよ木下」
「薬は何持ってんの」
「さっきバファリン飲んら。あとは冷えピタシートれしょ、デパスれしょ、あとマキロン
「とりあえず冷えピタシート貼っとけば」
「うーん、らんかあんましきかないきもするらー。もうある薬全部飲んじゃおっから」
「医者いけ。明日いけ。薬はほどほどにね。仕事なんて休め」
「もー、そんな状態じゃらいんらよ。明日のカンファレンス、あらしがしきりらんらから」
北山はこうなるとサンドバッグに対峙するみたいに愚痴を吐きまくる。優しい言葉は探してみるけれど、でもそれって僕の役目じゃないし。と思うと俄然ぶっきらぼうにならざるを得ない。ってうか馬耳東風。やってられませんよ実際、僕の中では結論が出てしまっている会話を延々と、なんて。で、結果、「120%の出力で全行程の6割しか走れん奴はプロでない。85%で走り抜いた奴の方が、仕事的にも全然偉いんである」的な唐変木な戯言を喋ってたら北山は段々疲れて眠くなってくる。案外いい仕事したのかも知れん。
「もういいわ。いらいけろ諦めて寝る」
「うーん、困ったね。あんましデパス飲むなよ」
「うん、わかっら」と言って北山は電話を切る。
戻ると漸次は帰宅した後で、木楢が綿棒で耳かきしながらプロレス雑誌を読んでいる。オンナから?と訊かれたら後輩だと応えよう、と考えていたけれど、木楢は「コーラ飲む?」とだけ訊いて雑誌を読み続けた。
常日頃、歳を重ねて力が抜けるのを楽しんでいるつもりだが、時間が過ぎて変化していくのはいいなと本気で思った。昔、同じ3人が木楢家の屋根の上で星を見ながらひりひりする恋愛話をしてたことを思えば、この脱力っぷりが嘘のようである。
開けて日曜日。
朝早く起きて木楢の寝ているうちにコーヒーを落とし、朝刊を読み(日中首脳会談とか)、昨日のハイドロプレイニングが嘘みたいな中央高速を飛ばして帰ってきてからスキー場の早割シーズン券の手続きを色々。尾瀬岩鞍の早割は、全シーズン券利用者の6〜7割が活用するのだとかの四方山話。それから換えたばかりなのにバーストした青猫タイヤチューブを、時間を計って交換。原因特定*1も含め、きっかり15分で終了。まあいいところでしょう。

*1:チューブのエア漏れ箇所を特定し、1.バルブなら入れ方が悪かったと諦め、それ以外の孔なら、2.リム打ちで出来たのか、3.何かが刺さったのかを特定し、刺さった傷だったらタイヤ側に異物が残っていないか確かめる。今回は3だったが、異物が発見できなかった。一番時間がかかるケース。