ひみつ基地

ひみつ基地暮らし。

北風が肩を押す。

起きてすぐ、ベッドの足元にある小さな窓を確認するのがここのところの日課になっているのだけれど、汚れた網戸越しに見る昨日の帝都は、雲のないペールブルーの大気に覆われていた。
晴れである。雨続きで4日連続して青猫に乗っていないので、ちょっと気合いが入る。来週末は龍勢だし、再来週は駅伝だから、身体を動かせる時に、なるべく絞っておきたい。それに今シーズンは昨冬よりたくさんコブ練をするだろうから、ウェイトは少ない方がいいし、バランスよくついた筋肉はプロテクターになって、靱帯の負荷を減らしてくれる筈だ。
シリアルとヨーグルトの朝ご飯を食べて、エプロンまで青猫を下ろすと、河川敷に向かう。ハイ・ケイデンスで回し倒すのを意識しながら、東に向かって走る。
荒川CRは堤体がたっぷり吸い込んだ雨水を吐き出しているところで、晴れているのに路面はウェットなコンディションだった。濡れたアスファルトが朝日を反射してビィっと銀色に光って、目が痛いくらい眩しい。それにタイヤが跳ね上げた水しぶきがきらきらして、光量過多である。例によってパンツまで濡れる。
あまり脚が疲れないのは、風向きのせいだ。結局一般道を含め、20キロ弱を40分ちょいで走り切ってしまった。夏にはこんな向きの風は吹かなかったので、季節が変わったということなのだろうか。
気がつけば霜月、秋を足早に駆け抜けて、イベントフルな時期に飛び込んでいく。面倒やうんざりが色々用意されているみたい。上等に捌いてみせる、と言い切るほど青臭くも傲慢でもないけれど、ただ、そこにいい風が常に吹き続けていますよう。