ひみつ基地

ひみつ基地暮らし。

水無月トラジディ。

例年よりも相当早く梅雨に入った今年である。いまのところ、放射線も派手に高い数値を出すわけではないので、多少の雨なら気にせずに青猫で出勤することにしている。
「木下さん、何ですかそのスパイダァマンみたいな格好は」
「ああ大家さん、おはようございます。これで職場までいくんですよ」
「それで一日過ごすんですか?」
「まさか。ロッカーに背広がつるしてあります」
そんなとんちんかんな会話があったりしながら、とりあえず仮住まい生活は始まった。朝の弁当は大家が作ってくれたりするので楽なんだけれど、やはり気を遣う場面が多くて多少気疲れする。あまつさえ深夜に北山が久々に電話をかけてきたりして、寝静まった大家んちでこそこそと話をすることになったりする。5時間の長電話。全くときめく要素がないのが北山との会話らしくて笑ってしまう。
内装工事のせいで、6月中はずっと仮住まい。居候気分を存分に味わっている木下なんである。