ひみつ基地

ひみつ基地暮らし。

九州縦断500km。

正確には517kmである。9月20日朝、輪行袋青猫をパッキングして、自由席の車両一番後ろの席を確保。背もたれの後ろに輪行袋を放り込んで、うつらうつらしつつルーティングの確認等しながら7時間。鹿児島に着いた。次の日からペダルを回しまくり、一路博多を目指した。
南九州は火山活動が活発で、青い水ハンティングをしようと向かった大浪池*1が、新燃岳の火山活動が活発なせいで立入禁止だったり、鹿児島市内はどこも火山灰で黒く汚れていたり、すくなからず影響を受けたが、台風の直撃がなかっただけましとしよう。
1日目に軽く降られた以外はピーカンに晴れ渡り、そろそろ秋を感じる大気を気持ちよく感じながら、宮崎→日向→九重→博多みたいな感じで、山を登り坂を駆け下りして温泉三昧*2。充実した、濃密な時間でした。特に久住高原越えは歯ごたえがあって最高に難儀したけど、達成感もひとしおでした。山岳ルートでも一日160kmは走れる自信が出てきました。ペースはがたがた、休み休みだったけれど。
結局25日の昼に東京に帰ってきたけれど、明日から仕事が出来る気がしないです。苦笑しきり。
そして旅行中に風邪を引いてしまった。たまに重たい咳が出る。早く直らないかなーとうがい薬を買ってみたり。
以下雑感。

まるでどこでもドアである。朝、東京にいたのに午後には鹿児島中央駅でうろうろしているって。
以前、猫足で九州に渡ったときは、殆どいちにち仕事だったように記憶している。しかも途中で仮眠をとったりしながら這々の体でたどり着いたのだ。それに比べて、新幹線のなんと楽なことよ。エアコン効いた車内でうたた寝しながら、とか。
印象的だったのは鹿児島の宿で天気予報をみていたときのこと。県内だけでなく、新幹線沿線の予報も提供しているのである。それだけ新幹線を利用して活発に遠出している人間がいるということなのだろう。特に、完全に関西がビジネスエリアとして射程に入った感がある。これは影響が大きい。

  • 九州の人は自転車旅行者に優しい

のかどうか定かではないが、差し入れをくれたり、車から「どちらまでいかれるんですか」と話しかけてくれたり、とかくほかの地にはない気遣い的なものを感じる場面が多かった。自転車旅行が珍しいのか、それともひいこら言っているおっさんを労ってくれただけなのかわからんが、格段に印象がよい。

  • しかし国道10号線

鹿児島から宮崎までしばらく10号線周辺をうろうろしていたのだが、この道は最後まで好きになれなかった。幹線道路なのでトラックがバンバン通るのだが、路肩が狭く逃げ場がない。軽自動車は何とかやり過ごしてくれていたが、特にトラックが、自転車を抜くことができるポイントまでひっそりと待ってくれたりしているので、申し訳ないこと甚だしい。歩道があるときには歩道に逃げて交通を流してやるのだが、そういうスペースがないときにはこちらも、追い抜けない自動車も、悶々としながら併走する事になるのである。

  • なぜ国道を選ぶかというと

これはもう、勾配が緩いからである。県道やら市道やらは平坦地を走っているときには交通量も少なく、風景もバラエティに富んで飽きないのだが、いざ峠越えともなると容赦ない激坂を用意してくれたりする。その点、国道は急激な坂道は少ない。他方、10号線でもそうだったが、交通量の多さや、風景の単調さ*3はマイナスである。本当は旧街道に沿った移動などが好みなのだけれど。

  • これはゲームなのだ。時間内に宿にたどり着くという。

3日目、久住高原を越えていたとき、脳裏に去来していたのはこの言葉だった。いろいろな旅の楽しみ方があるが、自分の場合、単に自転車で移動すれば満足かというとそうではない。いずこかに制約がないと単なる無責任な、自意識の無限拡散的な旅になってしまう。これは意図するところではない。
矛盾するような話だが、自転車で移動することの自由は、必ずしも何をやってもいいということではない。某かのコントロールポイントがあって、それに自転車というツールを使って立ち向かうというのがいいのである。

  • ローディはマゾか?

旅行中に友人とメールしていたときに出たキーワードなのだけれど、個人的にはそんなことはないと思う。身体や精神を研ぎ澄ませて、戦いに挑むことがマゾヒズムに直結するとは思わない。むしろナルシシズムに属する感情の方が強いと思うのだけれど、どうなんでしょうね。

  • 自転車旅行におけるデジタルデバイスの有用性を知る。

今回、携帯電話の道案内ソフトをよく使った。宿までの細かい道のりや、現在位置を確認するのに便利だった。特に助かったのは3日目、チェックイン時間まで余裕がなく、どのようなルートになるかを精査していたときのことである。登りがどの程度あるのか、ウィンドブレイカーを着込んだ方がいいのか、体力をどの程度温存した走りをすればいいのかなどを判断するのに、道案内ソフトの高度図がとても役に立った。そのおかげで、6キロほどの登りの後に宿まで続く怒濤の下りがあり、峠のてっぺんでウィンドブレイカーを着込んだ方がよいという判断をすることができた。そのころはすでに風邪をかなりこじらせていたからね。

  • で、これを書いているのは

ポメラな訳で。新幹線の中の時間をもてあましそうだったので、博多で買ってしまった。想像通り、シンプルで楽しい。

今年の夏の終わりはなぜかこんな気分。中途半端な。

*1:大浪池の撮影のためだけに、霧島温泉の上の相当高いところまで漕ぎあがったのだが、結局登山道が閉鎖されていたのですごすごと引き返した。体力だけ無駄に消耗した。

*2:たまゆら温泉、門川温泉、宝泉寺温泉っていうマニアなラインナップ。由布院も別府も黒川もなし。赤川や壁湯の混浴もなし。本当に温泉だけ。

*3:特に都市に近づいたときの、郊外の街並みのつまらなさといったら!