ひみつ基地

ひみつ基地暮らし。

自転車でどこまでも行こう。

秋の風薫る9月長月、恩田君と自転車で旅に出る。相も変わらず喧嘩道中である。まず自転車の選択から意見が合わない。最近の恩田君のお気に入りはカリカリのロードバイク*1を乗り回すことである。一方、こちらは青猫はツーリングに使っても、灰猫は使わない。レーシングバイクを傷めたくないからだ。
青猫はかなりバンカラな風貌になっているが、旅の道具としてはそんな面構えでいいのだと思っている。括り付けた荷物が擦れて塗装が削れたり、輪行時に心無い乗客に蹴飛ばされたり、そんな扱いでも耐えて乗り手と一緒に家に戻ってこられる、そういうヘヴィデューティさを、旅の道具に求めるものだ。
併せて身軽さもほしいところである。恩田君は最近、荷物を極力積まないでデポする−つまり、予約をばっちり入れて行程を決め、宿に荷物を送りつけておく。ハイシーズンに予約を取らずに行動するリスクは避けたいので、予約までは当然としても、デポについては意見の分かれるところである。デポや荷物の送り返しは、宅配業者と宿泊先のサービスのきめ細やかさに乗っかって成立するものであって、左様に世にはばかってまで道楽を推し進めるのになんとなく違和感を覚える。ただ、これは感覚的な話で、いわば目くそ鼻くそ論だ。恩田君の考えが間違っているわけでも、僕が間違っているわけでもない。答えはいつも風の中にある。
ほんの一瞬、軌跡の重なった遊星のように、今は恩田君と一緒に旅を楽しんでいる。お互い違う方向に進むときがくるまでは、ビールと口喧嘩をガソリンにして動くエンジンで、冒険旅行はガタピシと続いていくのである。

*1:恩田君のバイクはLOOKの585という一昔前のレーシングモデル。ちなみに「消費税が8%に上がる前に買わなきゃいけなかったから」というこれもよくわからない理由で、トップグレードのレーサーLOOK695を追加購入。でもレース参戦は大嫌いな恩田君である。